大阪府カウンセリングルーム 陽だまり工房・あいむの「こころの絵にっき」

日々 感じることを絵とことばで綴る「こころの絵にっき」

臨床美術士4級スクーリング

この前の土日、私は臨床美術士4級のスクーリングを受ける為、京都造形芸術大学まで行って来ました。

5級認定をパスし、無事4級認定挑戦へのスタート地点に立つことが出来て、その手始めとしての2日連続のスクーリングでした。

そこでは臨床美術の奥深さや楽しさを学ばせて貰い、そして大きな気付きもいただきましたヨ

私にとっては本当に意味のあるスクーリングになりました。

臨床美術は、右脳の働きを活発にすることで脳全体を活性化させる、それを楽しく促す為のアートプログラムということなのですが(とても簡単な説明になってしまっています!すいません!)、スクーリングで初めに行われたのが「右脳モード研究」の講義でした。

左脳は言語脳、言語や計算、論理的思考などを司る。右脳はイメージ脳、イメージや図形、音楽、表情を読み取る、直感的思考などを司る。それぐらいまでの知識は私にもありましたが、でも、じゃあ右脳モードって 実際 自分が どんな状態でいる時のことを言うのだろう?というところまでは、考えたこともありませんでした。

そこが私の今回のスクーリングでの大発見です!

「右脳モード研究」の講義の後、右脳モードになるトレーニングとして、いくつかのワークをしました。

自分の手のシワをひたすら観察しながら、もう一方の手で それを ミリ単位で ゆっくりゆっくり描き取って行く。但し、描いている画面は絶対見ない。

全く同じ方眼(マス目)が二つ書き込まれた用紙。その一方の方眼に片手を乗せ、もう一方の方眼に それを描き写す。但し、手を見て描くのではなく、手が乗っていない空間を描き取って行く。手で隠れることによって出来る真四角ではない形に注目して描く。

など、右脳モードのトレーニングの為のワークは、とてもとても集中力が試されるようなものでした。

作業中、講師の先生が私たちに向けて笑顔で声掛けされました。「今、右脳モードなのかなぁ?って考えた瞬間に左脳モードになっちゃいますからね」と。

その時、初めて私は右脳モードとは一体どういうものなのかが理解出来たように思いました。

夢中になって何かに集中して取り組んでいる時、余計な考えは何も頭になく空っぽで、時間の感覚さえなくなって…。

まるで小さい頃、公園の砂場で砂山を一生懸命作っていて、気が付いたら夕方。もう すっかり辺りが暗くなっている…その頃のような感覚。

それが右脳モードなのか!初めて理論と実感が合致したように思いました。大発見!

臨床美術の参加者の方に、そのようになって貰うのが臨床美術士の お仕事なんですね。

その為にも、今回の発見は私にとって宝物のように思えます。自分に実感があれば、参加者の状態に目を向けることが出来るようになりますから。

本当に講師の先生に感謝です♫

下の作品は「土偶」。写真は私の作った土偶の前面です。

土偶 前面

これは同じ土偶の背面です。

土偶 背面

各自 持参した石を土台にして、クレイドという粘土で肉付けして行きます。粘土自体の手触りや握った感触、思ったままに形作って行く作業は、本当に童心に帰れるような楽しい体験でした。

その他にもスクーリング1日目では、二人ペアになって一つの作品を作り上げるという課題にも取り組みました。

一人が自分の感じるラインを墨汁で一筆描き込んだら、次に そのラインを感じながら、もう一人が自分の思うラインを一筆加える。それを繰り返して出来上がった 交差した線の絵に、今度は交互にオイルパステルで色を加えて行きます。二人が納得の行くところまで繰り返し一つの作品を作り上げます。

それが下の作品「線と色の純粋造形表現」です。

線と色の純粋造形表現 ペアで作成

二人で描くので、自分が持っている「つもり」、つまり、自分がこんなふうに作品を仕上げようと思っている「考え」や、自分が常に使っている考え方の「枠」が通用せず、吹っ飛ばされてしまいます。その瞬間に感じるものを描くしかない。自分のパターンや「とらわれ」を外されるような面白い体験でした。

相手を大切にしながらも、自分を主張する。そういうコミュニケーションの土台になるような体験だったとも思います。

作品の制作を一緒にしていただき、そしてブログに作品をアップすることも了承して下さった方に感謝致します。

スクーリング2日目には、まず水彩絵の具を使った作品を描きました。

「思い出の空を描く」

思い出の空を描く

水彩絵の具のにじみを生かして描く絵で、自分が思い描いた空の色のイメージで絵の具を数色選び、それを濡らした水彩紙ボードの上に乗せて行くと、自分でも思わぬような鮮やかな世界が広がります。発色の良い絵具の色や 偶然のなせる業は、私の想像を超えた作品を生み出してくれました。

次の絵は「アジの干物を描く」です。

アジの干物を描く

準備されたアジの干物をじっくり見たり嗅いだり触ったり、普段 見ないようなところまで観察し感じます。アジの腹の部分には光沢があり、角度を変えると色んな色が見えて来ます。

光沢を表現するようにアクリル絵の具でアジの基本になるラインを描き、同じアクリル絵の具と丸めた新聞紙でアジの形を叩き描いた(ラギングと言います)後、今度は じっくり感じたアジの色を自分のイメージで数色選び、自分が感じるアジの形に添って色を乗せて行きます。

その後は感じるままに色んな色でアジを表現して行きます。カラフル過ぎたかなぁと思うくらい たくさんの色を加えて 私なりの味のあるアジの干物が完成しました。

もっと描きたい~!まだ描き足りない~!と思うくらい、アジの色は奥深いものでしたヨ

お昼からは、それぞれが描いたアジを使っての鑑賞会ロールプレイ。

臨床美術では作品が出来上がった後、鑑賞会をし、それぞれの作品をそれぞれが褒め合うということをするのですが、まずは臨床美術士が参加者の作品の素晴らしさを語ります。その為の練習です。

そこで学ばせて貰ったことは、漠然と褒めても真実味がないのだということ。やはり その作品をじっくり観察し、どこをどんなふうに感じ、どんなふうに素晴らしいと思うのか、ということを具体的に伝えないと参加者の心には響きません。

その為の美術的な視点というものの大切さが分かりました。

臨床美術士の仕事の奥深さと、私の課題の多さも たくさん感じました。

そしてスクーリングの締めくくりとして行われたのが、グループ別での臨床美術模擬セッション「アジの干物を描く」でした。

グループに分かれて、臨床美術士役、参加者役をそれぞれが順に体験して行きます。

どちらの役も こなしながら、私が描いたのが下の絵です。

アジの干物を描く グループセッション①

アジの干物を描く グループセッション②

参加者に制作に取り掛かって貰う前に、臨床美術士がデモンストレーションとして参加者の前で作品を作成して行くのですが、これが また難しい。というわけで、ロールプレイで練習させていただきました。

それに関しては1度や2度の練習で上手く出来るようなことではなく、今後 実際にやって行く中で身に付けるところが大きいのだろうなぁと思うに止まりました。

それ以外に私が臨床美術士役をして感じたのは、制作導入として参加者の話をきいたり、やり取りをする中で、私自身の緊張が解けて行ったことでした。

導入は参加者の気持ちを和らげ作品に入り易くなって貰うことが目的なのに、臨床美術士役の私の方が気持ちを和らげて貰いました。

でも、私の気持ちが和らげば、その場も当然 和らぎます。相乗効果?それでいいのかもしれないなぁと私は思いました。臨床美術士が参加者に何かをして上げるとかいうのではなく、共にやって行く姿勢が大切なのではないかと。

参加者になってみて感じたのも、臨床美術士が描くことを楽しんでいると、何だか その雰囲気に乗って楽しく描けてしまうのだなぁということでした。

技術や理屈は、もちろんプロとしてやって行こうと思うなら必要なことだとは思うけれど、何より参加者の心に響くのは、臨床美術士の描くことを楽しむ姿勢なのではないかと私は思いました。

それが2日間の締めくくりに私が感じたことです。

これから4級認定の課題として、5つの実習が待っています。

個人実習なので、自分で集めた参加者に来ていただき、実習をさせて貰わないといけません。

かなりハードだと思うし、不安も感じますが、けれど私自身が何より楽しむこと!それを念頭に置いて頑張りたいと思います!

臨床美術を体験してみたい!実習に協力してやってもいいよ!と思われる方は、是非お知らせ下さいんネ

宜しくお願いします!

とっても長くなってしまいましたが、最後まで お付き合いいただいた方、本当にありがとうございました♡