大阪府カウンセリングルーム 陽だまり工房・あいむの「こころの絵にっき」

日々 感じることを絵とことばで綴る「こころの絵にっき」

冷蔵庫のうしろの菩薩さま

沖末めぐみの「こころの絵にっき」
 
先週の土曜日から
今週の火曜日まで
私は
亡くなった兄の家の片付けに
横浜まで遠征しておりました。
 
独身の一人暮らし
しかも
病いに伏せっていた兄の家は
空き巣にでも入られたのか (@_@)
というくらいの
想像以上に荒れた状態でした
 
元々
片付けられない人だったのですよネ
兄は (^^;;
 
兄の持ちものは
ほとんど捨てるつもりで
片付けていたのですが
 
あちらからも
こちらからも
生前の兄の面影が溢れていて
捨て難いものも
たくさんありました。
 
 
納戸のように使われていた部屋の
収納棚の一番下の引き出しに
忘れ去られていたような
お土産ものを見つけました。
 
出張で 世界中を飛び回っていた兄
お土産ものも
世界のあちこちのものがあります。
 
絵はがき
木製の鳩時計
陶器の人形
 
Parisと書かれた手鏡
陶器の周りに
飾り彫りの金属が施された
 
???
 
これは
兄の自分用のお土産ではないのでは
 
きっと
女性にあげようと思って買ったものですよネ
 
でもネ
 
兄が 世界中 出張に飛び回っていたのは
バブルの時代
 
その頃は 若い女性が
高価なブランドバックを
大量に大人買いしていた時代です。
 
そんな時代に
チャチな合皮製の折りたたみ手鏡なんて
女性が喜ぶはずはありません。
 
というわけで
 
こんなところに 包み紙に入ったまま
誰にも受け取られることなく
残されていたのですよネ…
 
兄は 亡くなる少し前
「俺は何をやっても 何処か的が外れるんや」
と漏らしておりました。
 
ホント そうかもしれませんネ
 
そんなところが災いして
一生独身だったのかもしれません…。
 
兄のお土産はネ
 
Parisのチャチな手鏡だけではなくて
 
その土地に根付いた人達が作ったような
手作り品が たくさんありました。
 
旅行者向けの高級店ではなく
街の市場で無造作に
並んでいたのではないかと思われる
素朴な品々が 数多く残っていたのです。
 
それは
その土地に住む
当たり前の人たちの生活が
その土地の景色が目に浮かぶような
そんな品々でした。
 
たとえば
道端の花を押し花にした栞のようなネ
 
兄は兄の感性で
自分の感じるステキなものを
お土産に選んでいたのでしょう。
 
兄がステキだと感じるものは
社会の価値観とはズレていて
だから
誰にも受け取っては
貰えなかったのかもしれないけれど…。
 
その小さな お土産ものたちを
私は 小さな袋に詰めて
持ち帰ることにしました。
 
「しょうがないから
私が貰ってあげるヨ」って
ちょっと高ビーなコメントを呟きながらネ
(^O^)
 
それから もう一つ
 
私の印象に残った出来事がありました。
 
それは
兄が大切にしていた
2体の仏像に関することでした。
 
兄の近しい人の情報では
その仏像は
驚くような大金を支払って
兄が 購入したものだということでした。
 
で、私たち(私と姉)。
 
期待を込めて
古美術商の方に来ていただき
鑑定をお願いしたのですが
 
ナ、ナント ʕʘ‿ʘʔ
 
う~ん⤵︎これじゃ⤵︎
兄の家の廃棄物処理代も賄えないかも
くらいな査定額でした〜 ~_~;
 
一体 何で そんなのを
兄は高額を出して購入したのか
 
騙されたのか
 
それとも兄にとっては
それだけの値打ちが
あったということなのか…。
 
何にしても
ホントに お人好しな兄でありますヨ
(*^▽^*)
 
その後
 
兄の家の ほとんどのものが出払った後
私、凄いものを見つけたのです
 
それはネ
 
冷蔵庫のうしろの菩薩さまでした。
 
もちろん
 
そんなところで お宝 大発見‼︎
なぁんて
お話ではありません。
 
冷蔵庫から排出される風と
溜まりに溜まったホコリが
壁に張り付いて作り出した造形
 
それが
 
私には まるで 手を合わせて立する
観音菩薩さまのように見えたのです。
 
ほんものの仏さまは
こんなところに身を隠して
兄を見守っていてくれたのだと
私には そう思えたのです。
 
 
冷蔵庫のうしろの菩薩さま
 
{767A0E87-8E8E-43AF-9F3D-E8EAA06497A0}


足の踏み場もないくらい
山積みにされた膨大な数の本
たくさんの書類の山々
 
そんなものに占領されて
兄の居場所は
寝室のベッドと
リビングに置かれた
2人掛けのソファーの上だけに
なっていました。
 
そのソファーに座って
真正面に見えるのが冷蔵庫
 
そして
その裏に
菩薩様がおられたのです。
 
兄は それに気づかず
ホコリのかぶった木の仏像を
熱心に崇めていたのですネ
 
 
兄は あちこちに
メモを残していました。
 
そこには
「何故 不安が消えないのだろう」
「苦しい」「苦しい」
そんな言葉が
たくさん残されていたのです。
 
周りの人たちに対して 兄は
いつも行動的でパワフルな人
ポジティブシンキングな人
そんな印象を与えていたようですが
 
兄の内面は
いつも苦しみで
いっぱいだったのですネ
 
誰にも言わずに
苦しんでいたのですネ
 
そのためだったのか…。
 
兄は アルコール依存性に陥り
それを必死の思いで
乗り越えたにも関わらず
今度は
癌という病いに侵され
命を落としてしまいました。
 
 
何年も前に潰れてしまった
兄の会社の書類の山
 
とっくに動かなくなった
テレビやビデオ
DVDやパソコン
そして
そこから幾重にも伸びた線が
頑丈に絡みついて
解けなくなっていて…
 
それを目の当たりにしたとき
 
私は
 
手放せない過去に
雁字搦めになっている
兄の姿を重ね見ました。
 
 
絡みついて
どうしようもなくなった線を外し
停止し埃にまみれた本体を
部屋から追い出した時
 
錆びついた しがらみや 執着を
手放せた時
 
その目の前には
菩薩さまがおられたのです。
 
生きている間に
そんなふうに出来ていれば
 
もしかしたら
 
兄は
ほんものの仏さまに
出会えたのかもしれません…。
 
違う世界が
見られたのかもしれません…。
 
それでもネ
 
今 ここにあるのが
兄が選んだ人生だから
兄が全力で生きた人生だから
 
よく頑張ったネ
 
ホントに
あなたは強かったと
 
…そう
私の兄を
私は讃えたいと思います。
 
 
 
片付け終えた兄の家
 
{3B9E8B56-77B1-49F2-B20D-F2B4A9F87F43}

{D9BCCE63-99DB-4C33-9DEA-63ADD71EBCFE}

{768DA20E-7B36-45C6-BE72-7F81293F73DD}

{82083B19-621C-490B-A09F-809F8B02FC03}
 
 
そして
 
私たちは帰路へ
 

{8CB6ADAE-4922-42FE-B8D8-8ADC968873D8}
 
 
最後に
 
新横浜にて
兄 お勧めのレストランの
ハンブルグステーキをいただきました。
 
 
{2EFFAD54-6486-43FA-AAE0-C286FFED13DD}

{D232E226-FF6C-4E34-8E4D-8065C707F621}
{40117783-92CF-480D-A4BB-3D5DE5301090}
 
 
横浜駅
 

{BB9DE856-514A-4B23-B786-813BB2602EBC}
 
 
新幹線から見た富士山
 
 
{0E41A429-91AB-4A86-82E5-9FEAEE5CFC82}


これからも
 
私は 私の人生を
私なりに ボチボチと
それでも しっかりと
歩いて行こうと思います。
 
 
見ていてネ
お兄ちゃんグッド!ニコニコ
 
 
クローバー Megumi.O クローバー